米国がモンゴルとの関係強化を目指す動きを活発化させており、ロシアを刺激している。 米国の“対モンゴル攻勢”が最も顕著になったのは、今年八月、ウランバートル郊外で実施された米・モンゴル主導の合同軍事演習「カーン・クエスト2009」。 名目は国連の平和維持活動(PKO)用訓練で、モンゴル部隊五百人、米軍百五十人のほかインド、韓国などの部隊も参加したが、在モンゴル外交筋は「米軍がモンゴル軍を直接訓練、支援することが本当の目的」と指摘する。同筋はその根拠として、米海兵隊がモンゴル軍に訓練を施す特別プログラムが作成され、両国の軍事面の協力が強まっていることを挙げる。 米軍の訓練を受けたモンゴル部隊が今秋からアフガニスタンに派遣される計画も進んでいるといわれる。 こうした米国のモンゴル急接近に神経を尖らせているのがロシアだ。ロシアは「カーン・クエスト」がまだ終わらないうちに、モンゴルとの合同軍事演習「ダルカン2」を実施。これもPKOを想定した訓練とされているが、ロシアは二百人以上の兵士を参加させ、対抗心をむき出しにした。また、「ダルカン2」の実施期間中にメドベージェフ大統領がウランバートルを訪問し、米国を牽制する動きも見せている。

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