ロシア連邦移民局はこのほど発表した報告書で、昨年秋以来の経済危機に対処してロシア国民に優先的に就業機会を与えるため、大量の外国人労働者を同国から排除したことを明らかにした。 報告書によると、ロシアには二〇〇八年に最高千三百五十万人ほどの外国人労働者がいたが、経済危機が生じて以来、ロシア当局は約八百十万人を出国させ、今年七月時点での外国人労働者は約五百四十万人と、実に昨年の四割まで落ち込んだ。 ロシアには、中国人商人が五万人以上いる。彼らは、商品を私物の形でロシアに密輸入し、廉価で販売していたため、各地の小売市場からロシア人商人を駆逐してしまった。これに対し、当局は外国人商人の滞在期限を短縮したり、各地の小売市場を閉鎖したりして、中国人商人の追い出しを図った。 小売市場閉鎖で大問題になったのがモスクワ北東部のチェルキゾフスキー市場。中国人商人が特に多かったため、顧客を奪われたロシア人商人の反発が強く、今年三月には、極右民族主義者が中国人三人を襲う事件が発生。モスクワ市当局はこれを奇貨として、六月末、同市場を突然閉鎖し、総額二十億ドル相当の商品を焼却処分にしてしまった。これに怒った千人以上の中国人商人がデモと座り込みを行ない、警官隊と衝突した。

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