大再編が迫る法科大学院の「集客合戦」

執筆者:相沢清太郎2009年10月号

一時の人気はどこへやら、今や半数以上が定員割れにあえぐ。設置大学の経営に響くため、あの手この手で学生を集めようと必死だが……。 新司法試験が始まって四回目の合格発表(論文式)が九月にあった。全国に七十四ある法科大学院が合格者増にしのぎを削ったが、東大、中央大、慶応大など常連校が上位に並ぶ一方、合格者の数も率も伸びない下位校には統廃合が迫ってきた。 法科大学院は新司法試験制度を支える専門教育機関として二〇〇四年四月にスタートした。法曹人口の拡大を旗印に、長い間、毎年五百人程度だった司法試験合格者数を漸増させ、二〇一〇年までに三千人まで引き上げることを閣議決定している。今年は昨年より二十二人少ない二千四十三人が合格した。 司法試験改革は米国の強い圧力なしには進まなかった。米政府は毎秋、対日要求をまとめ「年次改革要望書」として送り付けてくる。二〇〇一年版では、「法制度改革」の一章を立て、法曹人口の拡大が必要だと指摘。「米国は日本政府に対して、早急に司法試験合格者を最低でも年千五百人に増加させること、また、合格者を年三千人に増加させるための計画を策定することを強く要望」した。 試験制度の見直し論は以前からあった。旧試験は合格率三%内外の超難関。このため、試験はふるい落とすことが主眼となり、法曹としての適性判断は二の次になった。受験生の予備校通いが当たり前になる一方、合格者の平均年齢が三十歳前後と高齢化したことも問題になった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。