二〇〇八年八月、医薬品の流通に異業種が参入するというニュースが業界内の話題をさらった。古くから医薬品の流通は、製薬メーカーが医薬品卸に仕切(卸)値で卸し、医薬品卸が病院と価格交渉して医薬品を納入する仕組みで、大手製薬メーカーと関係が深い医薬品卸が独占してきた市場だ。 その医薬品流通の世界に飛び込んだのが“クロネコヤマトの宅急便”で知られるヤマトホールディングス(ヤマト)である。子会社のヤマトロジスティクスが、聖マリアンナ医科大学病院とジェネリック(後発)医薬品メーカー大手の大洋薬品工業との三者間で後発医薬品を配送する「ヤマトメディカルダイレクト」と呼ぶシステムを開発。神奈川県に医薬品専門の物流センターを設け、昨年九月から配送を開始した。 それから一年――。さる六月に開かれた日本ジェネリック医薬品学会のシンポジウムで聖マリアンナ病院の増原慶壮薬剤部長は「ヤマトを使った直接取引による医薬品価格の引き下げ効果は計り知れない」と語り、シンポジストとして出席していたヤマトロジスティクスの久保田妙子氏は「全国に普及させたい」と強調した。実際、ヤマトの一年間の成果はどうなっているのか。医薬品卸の独占に風穴

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