[ナイロビ発]今年七月、オバマ米大統領が「ブラックアフリカ」と呼ばれるサハラ砂漠以南のアフリカの初の訪問先として、西アフリカのガーナに足を踏み入れたとき、近隣の地域大国ナイジェリアで持ちきりとなった話題は「なぜオバマはナイジェリアに来てくれなかったのか」だった。 アフリカ随一の約一億四千万人の人口を抱え、世界屈指の産油国であるナイジェリアは自他ともに認める「アフリカの雄」だ。サハラ砂漠以南で南アフリカに次ぐ経済規模を誇り、ナイジェリア人は自国を「アフリカの心臓」だと考えている。黒人に大人気のオバマ氏の「初のブラックアフリカ訪問国」という栄光ある地位を近隣の「小国」ガーナに奪われ、プライドを大いに傷つけられたというわけだ。 オバマ氏がなぜナイジェリアに来なかったかは分からない。ただ、安定した民主主義を誇るガーナについて、同氏は「アフリカ大陸で成功の模範になれる」と手放しで称賛。一方のナイジェリアには、はびこる汚職や紛争、多発する犯罪など不安定なイメージがつきまとう。 八月にナイジェリアを訪問したクリントン米国務長官も「二十カ国・地域(G20)のメンバーになれるはずなのに、汚職があまりに問題だ」と苦言を呈した。せっかくのポテンシャルが政府の無策で台無しなのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。