トヨタ、ホンダが中国市場で苦戦する理由

執筆者:高村悟2009年10月号

急拡大する市場で、日本の勝ち組二社が低迷している。日産や地場メーカーの成功を研究し、戦略を見直す必要がある。「月間百万台市場」。中国では最近、こんな表現をよく耳にするようになった。言うまでもなく自動車の販売台数だ。八月の中国の新車販売台数は百十三万八千五百台と前年比八一・七%増。今年三月以来、六カ月連続で百万台の大台をキープしている。年初に米国を抜いて月間ベースで世界最大の市場になったが、その記録自体は八月に米国の自動車販売が急回復し、トップを奪回したため、いったんは途切れた。ただ年間でみれば、中国が世界最大の自動車市場になるのはまず間違いない情勢だ。 一汽トヨタ一七・〇%減――。急膨張する中国の自動車市場を「トヨタショック」が襲った。今年上半期の中国の乗用車市場でトヨタ自動車の中国での主力合弁メーカーである一汽トヨタの販売台数が上位十社で唯一、前年同期比割れしたからだ。ランキングも八位と低迷した。前年比で二五―三〇%増の勢いで成長する市場では、販売戦略で多少のミスがあったとしてもメーカーは前年比で売り上げを伸ばすのが普通だ。にもかかわらず、二ケタのマイナスは異常事態といって過言ではない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。