新型インフル「ワクチン計画」の大問題点

執筆者:堀口晴正2009年10月号

日本のワクチン計画は「国産の不足」と「大量の輸入」を前提に進められてきた。だが、それは本当なのか。 新型インフルエンザ(H1N1)ウイルスが急速に世界を覆いつくそうとしている。 ブラジルやチリ、オーストラリアやニュージーランドなど南半球の主だった国々での流行は冬期である八月におおむねピークを越えたが、流行自体は今なお続く。一方、初期に感染が拡大しなかった国々では感染者が急増している。現時点でウイルスの変異は認められず、致死率も非常に低いようだが、多くの不明な点を残しながら、流行の中心は北半球に戻りつつある。 日本では例年より非常に早くインフルエンザの流行が始まった。国立感染症研究所によると、医療機関で受診した患者は毎週十数万人に上ると推計され、そのほとんどが新型インフルエンザの感染者とみられる。集団感染による休校措置が相次ぐなど若年層の感染が目立つものの、高齢者や基礎疾患をもつ患者の死亡も複数報告されており、油断は禁物だ。 最も有効な予防対策はワクチンの接種だが、それには大切な三つの原則がある。 第一は、効果とリスクの精査だ。いくら効果のあるワクチンでも、副作用の被害が相次げば元も子もない。効果とリスクの両方を臨床試験で明らかにし、その結果を専門家が念入りに検討することが必要だ。

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