「最近、体調もいい。二十年前に戻ったつもりで、鳩山政権を支えようと思う」 民主党新幹事長・小沢一郎氏は最近、側近議員にこう漏らす。剛腕とは思えない殊勝な言葉は、揺るぎない自信に裏打ちされている。「二十年前」とは一九八九年、海部政権で幹事長に就いた時のことをさす。二十年ぶりの与党幹事長就任で権力の中枢に返り咲いた小沢氏は、早くも次の一手を打ち始めた。 今、小沢氏の頭の中には来年夏の参院選のことしかない。民主党は衆院では三百を超える議席を持ったが、参院では過半数に九議席足りない。民主党が政権運営で完全に主導権を握るには、参院選で勝ってねじれを解消する必要がある。だから小沢氏は参院選を最優先に考えているのだ。 だが単独過半数を得るのは難しい。先の衆院選の結果をそのまま参院選に当てはめた場合、自民党と公明党の選挙協力が機能すれば民主党は単独過半数は確保できないというシミュレーションがある。衆院選を上回る追い風が民主党に吹くことは考えにくいことを考慮すると、単独過半数は限りなく困難な数字だ。 しかし小沢氏は、勝算ありと考える。九月十日には党本部を訪れた側近議員に、参院選勝利の秘策を「二人区の二人擁立だ」と明かした。

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