アフガニスタンに移り始めた外国人テロリスト

執筆者:栗田慎一2009年12月号

[カブール発]「パキスタンにいた外国人テロリストが大量にアフガニスタン入りし、中央アジアから北大西洋条約機構(NATO)軍への補給路封鎖に動いている」。十一月上旬、アフガニスタン情報機関「NDS」の機密報告書は、米大統領府に衝撃を与えた。 米軍主導のアフガニスタンでの戦争が九年目に突入した十月、「アフガニスタンの安定にはパキスタンの安定が不可欠」とみるオバマ米政権の圧力により、パキスタン軍が初めて部族支配地域、南ワジリスタンでの本格的な軍事作戦を開始した。標的の武装勢力組織「パキスタン・タリバン運動(TTP)」は、アフガニスタンの旧支配勢力タリバンと兄弟関係にあり、国際テロ組織「アルカイダ」と関係のある中東や中央アジアなどの外国人戦闘員約五千人を受け入れている。その戦闘員たちが今、次々と国境を越えているというのだ。 補給路とは、NATO軍向けの物資輸送路を指す。アフガニスタン駐留外国軍の物資の八割はパキスタン経由で搬入されていたが、昨年からのTTPの攻撃強化で中央アジアからクンドゥズ州とバルフ州を経由する代替路が浮上。しかし、そこも攻撃にさらされれば、アフガニスタンの掃討作戦は兵站を封じられかねない。

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