民主党経済政策「無為の蓄積」が招くもの

執筆者:小田博利2009年12月号

ご祝儀気分はいつまで続くのか。現実から目を逸らし、筋の通らない経済政策を放置するのはあまりに危険だ。 十一月十三日から十四日まで日本を訪れたバラク・オバマ米大統領。首脳会談で普天間基地の移設の具体策について、突っ込んだ話をしなかったのだから、日本ではさぞや時間を持て余したことだろう。 オバマ大統領は十四日午前、鳩山首相が去った後に東京のサントリーホールで演説をした。アジア地域に関する初の包括的な方針表明だった。成長するアジアに食い込もうという意図がひしひしと伝わる内容で、日本としても一枚噛む好機だったはず。なのに普天間という喉元に刺さった棘が邪魔して、米国と腹を割った協力関係を築けない。 招待された一般聴衆には高名なエコノミストや大学教授の姿もあったが、折からの秋雨が開場前の長蛇の列に容赦なく降り注ぐ。会場警備の不手際もあり列は乱れに乱れ、きちんと順番を守った彼らは衣服をびしょびしょにした。米国が友好人士と見込む人々への、意図せざる「カノッサの屈辱」は、日米関係の今を象徴するかのようだ。 その後に訪問した中国では、オバマ大統領は外交・安保から経済まで幅広い分野で、トコトン話し合った。中国は米国の同盟国ではないが、懸案処理のために協議の出来るパワーがある。それに引き換え日本は、閣内でも誰が何を言っているのか分からない。首相が脱米入亜を唱えるのもいいが、意思も一本化できない政権では誰からも相手にされまい。

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