米ロッキード・マーティン社が非化石燃料の「海洋温度差発電(OTEC)」の開発に取り組んでいる。地球温暖化対策に意欲的な鳩山、オバマ両政権誕生を好機ととらえ、早期実用化を目指す。世界最大の兵器メーカーの新エネルギービジネス本格参入により「市場をめぐる熾烈な争奪戦」(経済産業省幹部)が展開されそうだ。 OTECは海洋表面と深海の海水温度差による熱移動をエネルギーに転換して発電させる仕組み。天候に左右される太陽光発電、風力発電と違い、二十四時間稼働可能で海水の淡水化も同時にできる点が強みだ。 ロッキード社はハワイに実験用プラントを持っているが、新たに三件の施設建設契約を国防総省、エネルギー省、ハワイ州との間で結んだ。同社幹部は「コスト高やエネルギー効率の悪さについても克服のめどはついており、実用化は時間の問題」としている。 特に同社が力を入れるのはグアム、沖縄への投資だ。島嶼部で電力供給事情が悪い点はハワイと共通。また、厳しい雇用状況に苦しむ沖縄にとっては数千人規模での雇用創出が期待できると日本政府への売り込みを始めている。 ロッキード社は最高性能の防空システム「イージス」やステルス戦闘機F22で知られるが、F22の生産中止に象徴される米国防予算の大幅削減で、兵器だけでは先細りを避けられないのが実情。クリーンエネルギー戦略に生き残りをかけている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。