認定こども園はなぜ増えないのか

執筆者:渥美由喜2009年12月号

 政府は十一月四日、待機児童対策の一環として地域別に保育所の施設基準を緩和する方針を打ち出した。民主党政権になってから政策は大きく動こうとしており、たいへん興味深い。 他にも政府が早急に検討すべき課題がある。それは「認定こども園」の問題だ。認定こども園とは、小学校就学前の子どもに対する保育・教育を総合的に提供する施設。共働き家庭のための「保育所」、片働き家庭のための「幼稚園」という二つの機能を併せ持つ。 認定こども園は、大きく分けて(1)既存の幼稚園や保育所がその機能を拡大するケース(2)両者が連携して一体化するケース(3)幼稚園、保育所どちらの認可も持たない施設が新たに始めるケースがある。いずれも国が決めた指針に基づき、都道府県が条例で定めた基準で認定される。 現在、日本の社会は片働きモデルから共働きモデルへの転換期にある。このため、幼稚園の児童数は減少する一方、保育所には空きがない。認定こども園は、保育所の待機児童解消策の一環として、二〇〇六年十月に鳴り物入りでスタートした。 当時は、「幼稚園・保育所双方の利点を兼ね備える」「働きたくなった専業主婦の子どもが同じ施設内で円滑に移行できる」といった長所が強調され、大いに期待が集まった。しかし、開始から二年半を経た本年四月時点の施設数は三百五十八と、当初目標二千の二割にも満たない。

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