中国共産党「ネット封殺」にみる深層心理

執筆者:藤田洋毅2009年12月号

「近代化した大国」を自称する中国なのに、新疆ウイグルではいまだにインターネット封鎖が続く。なぜ、かくも「ネット恐怖症」に――。「最低限の隠私権は守られていると信じていました。でも、国家は人民のすべてを知っている。ぞっとしましたよ」 北京の大手IT企業の法務担当者が打ち明けた。発端は、待遇への不満を抱いた匿名の社員から、開発部門の優秀な人材の給与・ボーナスを増やさなければ、海外企業から開発を受託した業務用ソフトウエアのソースコードをすべてネット上に暴露する――と本社に届いた脅迫メール。ソースコードの一部が添付されており、ソフトウエア開発担当者の仕業に間違いないとされた。 経営陣は犯人捜しに手をつくしたが、どの社員と特定できず、法務部門と協議のうえ、北京市公安局(警察)に届け出た。公安局のネット担当部門の係官は、詳しく事情聴取すると、慌てるふうもなく、「明日もう一度来てください」と言った。 翌日出向くと、係官は一枚のやや不鮮明な写真を示し、「この男を知っていますか」。開発部門の責任者は息をのみ「彼が……。でも、信じられない」。すると係官はDVDを取り出して再生し、「これなら信じられるでしょう!」。

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