天下り連発「脱官僚」はどこへ行った

執筆者:白石均2009年12月号

民主党マニフェストの一丁目一番地だった「脱官僚」。一見、順調に見える「事業仕分け」も、中身は相当お寒い。 つい先日まで看板としていた「脱官僚」や「天下り根絶」は、見るかげもない。日本郵政社長人事を手始めとした「天下り人事」の連発で、鳩山内閣の化けの皮は剥がれた。「天下り人事」第一弾は、十月二十一日、亀井静香郵政改革・金融担当大臣の発表した、日本郵政社長に斎藤次郎・元大蔵事務次官を充てる人事だ。 斎藤氏は、かつて細川政権当時に大蔵事務次官を務め、小沢一郎氏と手を組んで国民福祉税構想をぶち上げたことで有名な人物。その後の自民党政権では小沢氏との親密さが忌避され、「大物次官OBにふさわしい天下りポストは与えられなかった」(財務省OB)とされるが、とはいえ、(社)研究情報基金理事長、(財)国際金融情報センター顧問、東京金融取引所社長と、財務省所管の天下りポストを歴任している。 かつて民主党が強く批判した、典型的な「渡り」官僚OBだ。その人物に、鳩山内閣は、さらに日本郵政社長という「渡り」ポストをあてがった。支離滅裂の言い逃れ これは、どう考えても、マニフェストの「天下り根絶」に反する。鳩山由紀夫総理大臣も、この人事を発表前夜に亀井氏から知らされ、「驚きを感じ、『元官僚ではないか』と議論した」と明らかにしている。さすがにまずいと思ったが、押し切られたのだろう。

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