小沢幹事長「陳情一本化」は自民への痛撃

執筆者:野々山英一2009年12月号

 十一月六日、民主党所属国会議員のもとに、小沢一郎幹事長から通達が届いた。「要請・陳情への対応について」というタイトルのA4一枚の文書とチャート図で、鳩山政権の与党として陳情に取り組む新しいルールが示されている。 十一月末から年末の予算編成シーズンは例年、永田町と霞が関は「陳情」一色となる。市町村長と地方議員が地元選出の国会議員を訪ね、国会議員は陳情団を引き連れて霞が関に向かう。国会議員の力量は、陳情団を次官に会わせることができるか、局長止まりか、それとも課長にしか会えないか、で判定されてきた。その結果、霞が関の部屋には、日本津々浦々の特産物が山積みされ、官僚たちはその処分にさえ困るという状況だった。 だが、小沢氏が示した新ルールは、この光景を激変させる。 今後は地方からの要望は、各都道府県連が窓口になって受け、県連がまとめて党幹事長室に上げる。そして幹事長室が陳情を取捨選択、整理して各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)に伝える。政務三役は、それを受けて官僚たちに指示を下ろす。これが新システムの流れだ。 このシステムはいくつかの効果をもたらす。まず地方から官僚への「お願い」が消え、政務三役からの指示に一本化されるので「官僚主導」「中央集権」という日本の政治の旧弊が解消される期待が持てる。

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