アラビア半島の一角を占めるイエメンがイランとサウジアラビアの代理戦争の場と化しそうな雲行きだ。サウジと国境を接するイエメン北西部山岳地帯で、自治権拡大を求めるフーシ族武装組織の反政府活動が〇九年秋ごろから本格化し、イエメン政府との軍事衝突が頻発。同武装組織はしばしばサウジ領内にも侵入する事件を引き起こしている。フーシ族はイスラム教シーア派の一派であるザイド派に属するといわれる。 〇九年十一月初め、サウジ軍がフーシ族武装組織の越境攻撃への報復としてイエメン領内の同組織拠点を空爆。在イエメン外交筋によれば、フーシ族はシーア派が多数派を占めるイランに支援を求め、イラン政府がこれに応じ、対戦車ロケット弾など多数の武器のほか、軍事顧問を派遣した。 これに対しサウジ当局はイエメン政府とともに、武器を運ぶイラン船の取り締まりに乗り出す一方、両国国境山岳地帯でのフーシ族掃討作戦を強化しているという。 一方、イエメン国内に潜伏する国際テロ組織アル・カエダ分子も、フーシ族の動きに呼応するかのようにテロ活動を活発化させ、同じく十一月初めにはサウジ国境付近でイエメン政府要人の乗った車を襲撃する事件を起こした。ただし、アル・カエダとフーシ族が連携作戦を取っているのかどうかは不明だ。

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