そして外食産業は海外を目指す

執筆者:一ノ口晴人2010年1月号

国内市場が縮む業界を政権交代による逆風が襲う。各企業は新興国にターゲットを定め攻勢をかけるが……。 十月二十二日、外食産業の団体である社団法人・日本フードサービス協会(JF)の創立三十五周年記念式典が、ホテルオークラ東京で開かれた。例年ならば式典後のパーティー会場は来賓であふれかえり、現職や歴代の農林水産大臣など食品流通業界に関係が深い国会議員が次々と登壇して祝辞を述べたものだった。 ところが、今回のパーティーにいつもの華やかさはなかった。参加したのは約千二百人だが、登壇して挨拶した政治家は、小沢鋭仁環境相と谷垣禎一自民党総裁の二人のみ。これまで世話になった自民党の議員は落選組ばかりで、農水省の政務三役は「赤松広隆大臣に本人出席を断られ、副大臣や政務官の代理もダメだと言われた」(JFの事務局職員)。農水省側も代理出席を渋り、結局「大臣代理」として出席したのは、三―四ランク低い高橋博・総合食料局長。JFの面目は丸潰れとなった。 招く側も経営が苦しい企業が多い。少子高齢化という構造要因で外食市場が縮小している上、デフレの中で蟻地獄のような値下げ競争が続く。ライバルはコンビニ弁当やデパートの地下などで売られる「中食」であり、同業他社を意識した合理化努力だけでは立ち行かない。

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