ファミリーマート中国二万店構想の吉凶

執筆者:黒政典善2010年1月号

 コンビニ業界三位のファミリーマートは二〇〇九年十一月二十四日、一九年度末までに四万店(国内一万店、海外三万店)体制を築く方針を打ち出した。特に中国の店舗数を現在の三百店弱から二万店と、七十倍に拡大させる。これまで中国の小売業界は、GMS(総合スーパー)では仏カルフールや米ウォルマートなどの海外企業、コンビニエンスストアではローカル企業のシェアが大きく、日本企業は劣勢を強いられてきた。しかし、今回のファミリーマートの中国二万店構想に刺激され、今後は日本の小売企業の中国シフトが加速しそうだ。 日本の人口は〇五年の一億二千七百七十七万人をピークに減少を始めた。今後は毎年七十四万人ずつ減少が続くとの予測もある。その一方で十三億人の人口を抱える中国では、〇八年に小売市場が十兆元(約百五十兆円)に到達し、なおも成長を続けている。 日本の小売企業はこれまで、百貨店では伊勢丹、総合スーパーはイオンやイトーヨーカドー、コンビニはセブン-イレブンやローソン、ファミリーマートなどが中国に進出した。しかし、カルフールの百三十二店、ウォルマートの百二十店、台湾の大潤発の百二店、台湾系のトラストマートの九十九店などに比べ、イオンは二十七店、イトーヨーカドーは九店と大きく出遅れている(〇八年末時点)。日本企業が得意とするコンビニ業態でも、地元の地の利に明るいローカル企業に八割近い店舗シェアを握られている。日本の小売企業は中国で、海外勢やローカル企業の後塵を拝す状況になっているのだ。

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