フランスの自動車メーカー、プジョーシトロエングループ(PSA)が三菱自動車への資本参加に向け交渉を進めている。議決権の三―五割を獲得し、筆頭株主になる可能性もある。販売不振が続く三菱自動車にあえて出資するPSAの狙いは電気自動車の技術だ。 九月にフランクフルトで開かれたモーターショー。PSAのライバル、ルノーの幹部はPSAのブースに並ぶ電気自動車を見て悔しがった。 電気自動車に社運をかけるルノーはフランクフルトに四タイプの電気自動車を初出展。欧州初となる二〇一一年の発売を打ち上げようとした。だがふたを開けてみればPSAがプジョーとシトロエンブランドで二車種の電気自動車を展示しており、二〇一〇年発売を掲げていた。 PSAの電気自動車は、三菱自動車がすでに日本で販売している電気自動車「アイ・ミーブ」を小改造してエンブレムを取り換えただけの借り物。だが欧州初の量販車のタイトルはPSAがさらっていった。 フランスのメーカーが実用化に向けてしのぎを削る電気自動車は、欧州では次世代の環境対応車の本命とされている。二酸化炭素の排出規制が厳しい欧州各国政府は電気自動車を温暖化対策の切り札のひとつと位置付け、充電施設などのインフラづくりを進めている。ルノーのカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(CEO)は「二〇二〇年には世界で販売される新車の一〇%が電気自動車になる」と予測する。

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