価格破壊の震源である膨大な需給ギャップはなぜ生まれたか。産業の新陳代謝を妨げてきた日本の経済システムこそ見直すべきだ。 昨年十月一日、パリにユニクロの新店舗「オペラ店」がオープンした。場所はその名の通りオペラ座のすぐ近く。ニューヨーク店、ロンドン店に続いてついに「ファッションの都」の中心街に日本の低価格衣料品店が本格進出したのである。「衣料品の世界では、国際的な一流プレーヤーが固定されつつある、当社はその中に入ることを目指す」とユニクロを経営するファーストリテイリングの柳井正社長は言う。 昨年来の世界経済の落ち込みの中で、トヨタ自動車でさえ躓いた国際市場。ユニクロはそこで新たな「日本代表」に名乗りをあげたわけだ。 その直前、国内では全く別のユニクロ評価が話題になった。総合雑誌に掲載された著名なエコノミストによる論文である。タイトルは「ユニクロ栄えて国滅ぶ」(以下「亡国論」)。 日本経済は今、デフレの嵐に席巻されている。このまま進行すると、日本の破綻は必至。火を付けたのが安売り競争だ。先頭に立つユニクロは結果的に国を滅ぼすデフレの主役であるというのが「亡国論」の主張。ほとんど“国賊”扱いだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。