米日関係二〇一〇年「二つのシナリオ」

執筆者:マイケル・グリーン2010年2月号

[ワシントン発]中国の干支によると、寅年は激情が混乱をもたらす年になりやすいという。折しも二〇一〇年は、米日安全保障条約締結からちょうど五十年。米日関係にとって要の年となるかもしれない。 政権交代によって日本に民主党政権ができてから最初の四カ月間、米日関係は順調とは言い難いものだった。果たして、今年はどうなるか。民主党が外交政策を立て直し、両国関係が改善されるにつれ、より強固な同盟関係を築くことができるのか。それとも、〇九年は、米日関係を揺るがす難題が次々と襲ってくる序章に過ぎなかった、という評価を与えられることになるのか。どちらのシナリオも十分に可能性はある。 まず、前者の「良いシナリオ」が現実のものとなるならば、鳩山由紀夫首相は昨年十二月にコペンハーゲンでヒラリー・クリントン米国務長官に語ったとおり、沖縄の普天間基地の移設問題に関する決断を五月まで引き延ばす。同時に、四月までに成立させる新年度予算に移設に必要な費用を盛り込んでおく。その上で、連立を組む社会民主党と国民新党、および民主党内部の米軍基地反対勢力に対し、名護市辺野古沖への移設以外の道を模索したがいずれも現実味がないと説明し、米日両政府が十三年前に合意した既存案以外に事態打開の道はないと説く。

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