民主党政務三役に「外国人政策」を問う

執筆者:出井康博2010年2月号

 民主党が昨年の総選挙前に発表したマニフェスト(政権公約)には、「外国人労働者」や「移民」に関する記述が全く見当たらない。その理由として、二つのことが考えられる。 まず、民主党内部でも、彼らの受け入れに関し、統一見解が存在するとは思えない。現在、外国人参政権を巡って同党が割れているのは象徴的だ。そして何より、外国人労働者問題は有権者の広範な支持を得にくい。選挙を考えれば、「子ども手当」や「高速道路無料化」など、有権者受けしそうな政策を前面に押し出す方が得策だ。とはいえ、外国人労働者と、その先にある移民受け入れの議論は、日本として避けて通れないものである。 この連載は三年前、根本的な議論を経ないまま進められる外国人労働者の受け入れに警鐘を鳴らす目的でスタートした。建前上は受け入れを禁じているはずの「単純労働者」が、日系人や研修生という資格で入国し、数十万人単位で仕事に就いている。二〇〇八年には、外国人介護士・看護師の受け入れも始まった。だが、現場の取材から浮かび上がるのは、外国人の受け入れによって利権を得る一部の政治家と官僚の姿ばかり。国家としての戦略などあったものではない。そこに筆者は大きな危機感を覚える。

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