財務省の“脱民主”が始まった

執筆者:白石均2010年2月号

 藤井裕久財務大臣辞任の際、異様だったのは財務官僚の対応だ。 表向きは体調問題が辞任理由とされていたが、彼らはマスコミ関係者に対し、「藤井大臣は、鳩山総理の不甲斐なさに嫌気がさした」「予算編成で小沢さん(一郎・民主党幹事長)にケチをつけられたのが影響した」などと、政府・民主党内の軋轢が理由とする“解説”を流布して回った。「直接のきっかけは、暫定税率の件で、藤井大臣は何とか総理の方針に沿って引き下げを実現しようとしていたのに、総理が小沢さんに一喝され、たちまち言いなりになったこと」との説も広まった。 このように政治情勢を官僚が解説してみせることは珍しいことではない。だが、今回は、複数のニュース番組でこうした内容が「財務省幹部のコメント」として報じられた。 こうした“解説”の流布は、言うまでもなく、鳩山首相にとって大きなダメージになる。これで、はっきりしたのは、財務官僚がもはや鳩山内閣を見限ったということだ。 鳩山内閣は、発足当初から「財務省依存」内閣だった。拙稿では発足前から指摘してきたことだが、霞が関の中でも財務官僚とは手を握り、国土交通省や厚生労働省などを叩く路線をとってきた。大成功とみられた事業仕分けもその一例だ。

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