鳩山首相が意欲を示す北方領土問題の解決は、ロシア外務省が日本の参院選まで様子見を決め込んでおり、進展は望み薄だ。 ロシア外務省は昨年から、北方領土特措法改正や政府見解が「不法占拠」に言及したことに抗議声明を連発。先の「北方領土の日」にも不快感を表明し、従来、政府レベルでは原則として黙殺してきた態度を変更した。一方で、日本側が乗れないことを承知の上で北方領土での経済協力を提案してきた。 そこに起きたのが、北方領土周辺海域でロシア側が日本漁船を銃撃した事件だ。日本漁船が協定海域の外で操業した可能性が強いため、日本外務省の対応も及び腰で、欧州局長は本来なら駐日ロシア大使を呼びつけるべきところを、電話による抗議という対応で済ませた。これに対しロシア外務省は、「抗議するのはむしろわが国だ」と、逆に怒り出す始末。領土交渉というリスクを冒したくない官僚心理を突き崩すのは容易ではない。

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