中国が一九九八年にウクライナから廃艦同然の状態で購入し、大連で改修していた空母「ワリヤーグ」が近く試験航海する。二〇〇九年四月、乾ドックに揚げて艦橋や甲板を整備する写真などが報じられたが、中国軍筋によれば「最難関は動力系統だった。点火燃焼実験も終え、ようやくめどがついた」という。 軍中枢は、八八年の進水から二十年以上を経た同艦は、特殊鋼鈑が劣化して戦闘艦には不適と判断。練習艦兼実験艦として海軍北海艦隊に編入し、潜水艦基地で艦艇の修理・整備拠点でもある遼寧省・葫蘆島を母港とする方針が決まっていた。 艦載機用の複座の練習機(性能も価格もこれまでと別格との意味合いで内部では「高級」と呼ぶ)の配備が始まり、ウクライナで訓練を受けた操縦士が後進を育成中だという。一五年の完成を目指して上海の長興島で建造中の国産空母一番艦が就役する際は、“ワリヤーグ育ち”の操縦士が搭乗する手筈だ。 なお、ワリヤーグの新艦名および国産空母の艦名を巡っては、歴代大統領や海軍首脳の名を冠する米国に倣い、「毛沢東」のほか、明代の「鄭和」、清朝の「施琅」ら海の名将を推す世論が強かった。だが、どれを選んでも賛否両論の対立が避けられそうにないため、河川の名称を冠する方針が固まり、「黄河」「長江」「黒龍江」「遼河」など八大河川を軸に最終調整中だ。これまでは艦の種類によって歴代王朝名、都市名、山の名などを冠してきており、整合性を保ちつつ歴史と国土を象徴できるので「最も説得力がある」と胡錦濤総書記が判断したという。

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