昨年末にインドの首都ニューデリーを訪問した鳩山由紀夫首相は、ある人物との会談の席を持った。相手はインドのコングロマリットのひとつであるサハラ・グループの創業者、スブラタ・ロイ会長だ。この会談は、日本から首相に同行したメディアに知らされなかっただけでなく、在印日本大使館も関知していなかったが、ロイ氏が現地のメディアにブリーフしたことから事実が明らかになった。 単なる表敬にも見えるが、ロィ氏がインドのメディアに語ったところによると、会談ではサハラ・グループがムンバイに近い中規模都市プネの近郊で開発している高級住宅街「アンビ・バレー」を「環境に優しい、緑あふれる街にする計画を、日本政府が支援することで一致した」という。在印日本大使館筋は、「日本政府は一切把握していない」として、「アンビ・バレーのPRのために鳩山首相との会談が利用されたのではないか」と警戒する。このアンビ・バレーの現地は、鳩山氏の訪印から約一週間後に原口一博総務相が訪問している。 一私企業の開発案件になぜ鳩山首相がからむのか。そこには、都内にあるNPO(非営利組織)「インドセンター」の主宰者、ビバウ・ウパデアーエ氏の存在があるとみられる。

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