経営環境が悪化する消費者金融業界。大手四社の一角で独立系の武富士をめぐり、官主導の再編観測が急浮上してきた。 武富士は二〇〇九年四―十二月期決算で、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する重要事象」を開示した。企業としての継続リスクを示すもので、「新たな資金調達が極めて厳しい状況」が続いているためだ。最終黒字はなんとか確保したものの、営業貸付金は減少基調で、六月に予定される改正貸金業法の完全施行を控え、「胸突き八丁の状況」(業界関係者)が続いている。 消費者金融業界ではアコムが三菱UFJ、プロミスが三井住友というメガバンクの傘下に納まり、住友信託銀行が主力行のアイフルは昨年末に私的整理の一種の事業再生ADR(裁判外紛争解決)が成立するなど、もはや「自主再建は限界」(プロミス幹部)という状況にある。 独立系で気を吐いてきた武富士も例外でない。財務省と金融庁の内部には、「経営安定化のため、武富士を早く軟着陸させるべきだ」(財務省幹部)との声が強く、呼応する格好で一部の銀行や投資ファンドが食指を動かしているという。 同社をめぐってはここ数年、大手銀行による買収観測が何度も浮上。そのたびに銀行側が不良債権や金融危機への対応に追われて立ち消えになったが、「そろそろ年貢の納めどき」(金融庁関係者)との見方は強い。

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