サイフ氏はウィーン大学で経営修士号を取得し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号を得た。リビアの最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐の次男であり、表向きの肩書きは、人道主義に基づく支援を行なう「カダフィ国際慈善基金総裁」である。しかし、実際には、社会主義的政策の温存を図る守旧派と厳しく対立する改革派の中心人物として大量破壊兵器の開発計画を放棄したリビアの改革・開放路線を主導している。 守旧派が攻勢に出た二〇〇八年八月から一年強にわたり発言を控えていたが、〇九年十月、国家元首と同格の人民社会指導部の総合調整官に任命された。 道路・通信・空港・港湾などの基礎インフラ開発の遅れたリビアは、今後五年間で総額千三百億ドル(約十二兆円)を投下し整備することを明らかにしており、サイフ氏の指導力に期待が寄せられている。 愛知万博の開催された〇五年には短期間ながら日本も訪れ、戦後の我が国の経済・産業・教育政策や最先端技術の開発状況などを熱心に学んで帰った。Seif Al-Islam Al Qaddafi●カダフィ国際慈善基金総裁。1972年生れ。

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