冷静な分析で知られる政治学者であり、将来の大統領候補とも目される。祖父はインドネシア建国の元勲の一人。自身はスハルト独裁下における学生運動のリーダーでありながらフルブライト奨学金で留学した数少ない学生だった。二〇〇七年にインドネシアで最年少の学長に就任した。穏健な近代イスラム教徒。 インドネシア最古の歴史を誇る名門ガジャマダ大学経済学部で経営管理学の学位取得(在学中の一九九三年に上智大学で学んだことがある)、米メリーランド大学で修士課程修了(国際安全保障と経済政策)、北イリノイ大学政治学部で博士課程修了(インドネシアの地方分権と民主主義)。母国に帰国後、世論調査機関の上級調査員、シンクタンクの代表を経て現職に就いた。 スハルト独裁体制が崩壊した九八年、国家統治のあり方を模索する中で、三十歳そこそこのアニスは地方分権分科会の議長となり、注目を集めた。今に至るまで不偏不党の立場だが、中立・公正なイメージと優れたバランス感覚から絶大な信頼感があり、多くの党や会派が秋波を送る。第二次ユドヨノ政権の組閣に際しては教育相との下馬評も出た(教育相は全予算の二割を握る重要ポスト)。インドネシアの政界は若返りが著しい。二〇一四年以降の大統領選挙でユドヨノ氏のような急浮上があっても不思議ではない。

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