長年の議論を経て、日本でも適用される見込みとなった国際会計基準。しかし妙なところに抵抗勢力が……。「ほとんどの中小企業は国際化とは関係がなく、日本固有の文化を重視すべきだ」「中小企業の身の丈に合った基準を検討して欲しい」 二月十五日、経済産業省十七階の会議室は熱気に包まれていた。中小企業庁が設置した「中小企業の会計に関する研究会」の第一回会合には、学者や中小企業団体の役員、企業経営者ら三十人ほどの委員と、事務方の官僚など五十人近くが出席していた。 中小企業の決算書を作る「会計基準」をどうすべきか、というのが研究会設置の趣旨だが、本音はズバリ「IFRS(国際財務報告基準)阻止」だ。 IFRSはロンドンに本部を置く国際会計基準審議会が作る会計の国際基準で、世界各国でバラバラになっている会計基準の一本化を目指している。「時価会計」を幅広く採用しているのが一つの特徴で、企業が持つ株式などを決算期末の時価で評価するほか、商品在庫や工場設備、保有不動産などの価値が大きく下がった時に損失処理をすることなどが求められる。企業が抱えている損失が表面化しかねないIFRSに、日本の産業界は長年反対し続けてきた。

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