トヨタバッシング

執筆者:名越健郎2010年4月号

 トヨタ自動車のアクセルペダル不具合や大規模リコール問題で、米国の議会やメディアはここぞとばかり、トヨタバッシングに走っている。 トヨタの対応も遅れたが、「リコール車の運転を止めるべきだ」(ラフード運輸長官)といった不規則発言は、政権までトヨタ叩きに加担した印象を与えた。 実は昨年、米フォード社も速度制御装置の欠陥で同様の大量リコールに追い込まれたが、ほとんど問題視されなかった。カナダの新聞が「トヨタは生贄」と報じたように、意図的なトヨタ叩きの背景には、世界一となったトヨタを凋落させることで、国産メーカーを再浮上させ、雇用拡大につなげたいとするオバマ政権の冷徹な思惑が透けて見える。 米国のジョークサイトはこれに便乗して露骨なトヨタ批判を展開しており、世界に誇るトヨタブランドのイメージ回復は容易ではない。 米政府高官が、トヨタのキャッチコピー“Moving Forward”(前に進もう)を見て言った。「確かに、一言も止まろうとは言っていない」 米国トヨタがブレーキ修理のため走行実験を計画した。しかし、実験は実施できなかった。 テストドライバー全員が運転を拒否したからだ。 冬季五輪をよりスピードアップするため、国際オリンピック委員会が提案した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。