「逆コース」が極まる公務員制度改革
民主党は5月12日、衆院内閣委員会で国家公務員法改正案を強行採決した。
当初、政府・与党は、この審議はさっさと終え、次に控える政治主導確立法案に移ろうと目論んでいたようだ。ところが、プランが狂ったのは、思わぬ対案が出てきたからだ。
4月5日、自民党とみんなの党が共同で提出した対案は、昨年秋にみんなの党が公表した「霞が関改革推進関連法案」とほぼ同内容。以下のとおり、かなり急進的な改革プランだ。
(1)「内閣人事局」……人事院・総務省等の機能を一切移管しない政府案に対し、対案では人事・組織関連の機能をすべて移管。
(2)幹部制度……次官から部長までを「同一の職制上の段階」とみなす政府案に対し、対案では、次官は廃止した上、幹部は一般職とは別扱いの「特別職」とし、課長への降格も可能とする。
(3)天下り規制……「官民人材交流センター」を「民間人材登用・再就職適正化センター」と名称変更する程度の政府案に対し、対案では、給与体系を年内に抜本改革するのとタイミングをあわせて、センターをサンセット廃止。
ここまで急進的な改革プランを、自民党が党として決定したことは、従来の経緯を知る者にとっては、にわかに信じ難い話だ。
例えば(2)の幹部「特別職」化は、従来から自民党内でも、中川秀直・元幹事長、塩崎恭久・元官房長官らが主張していたものの、党内の「過去官僚」らから強硬な反対を受けていたもの。さらに「次官の廃止」など、かつての自民党なら到底合意に至るはずのなかった内容だ。また、(3)の天下り規制も、自民党内では「そもそも安倍内閣の導入した天下り規制自体が行き過ぎ」との批判が強かったほどで、まして「センターのサンセット廃止」など、とんでもない話だった。
それでも、これが「自民党案」としてまとまったのは、「どうせ野党なのだから……」といって「過去官僚」ら守旧派の反対が弱まったためだ。結果として、みんなの党に引きずられるように、自民党全体が、いわば急進改革派に変貌した格好になったのだ。
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