鳩山首相が漏らしていた「辞意」

執筆者:2010年5月28日

 米軍普天間飛行場移設問題をめぐって、鳩山由紀夫首相は沖縄県名護市辺野古への移設を拒否した社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。これに反発した社民党は5月30日、連立政権からの離脱を正式決定した。
 社民党は参院選での民主党との選挙協力を維持する構えだが、社民党内には民主党への憎悪さえ芽生えており、現場レベルで選挙協力がうまく機能するかどうかは未知数だ。社民党候補がいない選挙区では、社民党支持層は民主党候補に投票する割合が多いとみられており、民主党もそれに期待していた。だが、今回の一件で社民党支持層の民主党離れが進むことは確実。民主党にとっても大きな痛手となった。  この不手際によって、民主党内では鳩山首相の退陣を求める声が急速に広がりつつあるが、実は鳩山首相の進退をめぐって、これまで一部の民主党関係者の間だけで秘密にされてきた極めて重大な出来事がある。
 その出来事があったのは4月3日夜のことである。この日、鳩山首相は日帰りで近畿地方を訪問した。立ち寄ったのは、滋賀県内の京セラの工場や博物館、幼児園など。だが、その後、帰りの新幹線の乗車時刻まで約3時間しかなかったのに、首相はわざわざ京都まで足を運んだ。訪れたのは、南禅寺や銀閣寺から徒歩10分あまりの距離にある京セラのゲストハウス「和輪庵」。ここで、民主党支持で知られる京セラの稲盛和夫名誉会長や小沢一郎幹事長らと夕食を囲んだのだった。その席上、事件は起きた。関係者によると、普天間問題などについて弱音を吐き始めた鳩山首相がふと、こう言ったのだという。
 「5月にけじめをつけて、新しい首相の下で参院選に臨んだ方がいいかもしれませんね」

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