映画「唐山大地震」と人民解放軍

執筆者:野嶋剛2010年9月6日

   いきなり映画の話で恐縮ですが、最近、「唐山大地震」という中国映画を見ました。
   人気監督の馮小剛がメガホンを取り、今年夏に公開されると、あっという間に中国で史上最高の興行成績を塗り替えました。制作費も1・5億人民元(約20億円)という巨費。いま最も注目の中国映画です。
   この作品は、1976年に河北省唐山市で死者24万人という桁外れの被害を出した唐山大地震を題材にしています。最近の四川大地震と主題をだぶらせながら、地震によって生き別れた一家の一人ひとりが歩んだ人生の苦悩と邂逅を描いたものです。
   ちなみに馮小剛は、中国で北海道観光ブームを巻き起こした映画「非誠勿擾」(邦題:狙った恋の落とし方)の監督さんです。
   映画自体はなかなかの出来映えで、さすが感情世界を描かせたら中国随一と言われる監督だけあります。これでもかという感動シーンの連続で観客席ではすすり泣きがやまず、涙と鼻水の大洪水。連れの女性は泣きすぎて顔の形が変わってしまい、普段はあまり泣かない私も3度ぐらい、こらえきれずに涙腺を緩めました。

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