「保釣(尖閣を守れ)」に中港台連携の動き

執筆者:野嶋剛2010年9月15日

前回のエントリに、いろいろな反応をいただき、関心の高さを改めて実感しました。

事態はまだ動いていますが、気になる点が一つあります。

中国の反発に、台湾、香港が呼応していることです。

尖閣諸島の日本の実効支配に反発する運動は「保釣(釣魚島を守れ)」運動と呼ばれ、1980年代から存在しました。以前は、共産主義の中国と、英国統治下の香港、そして中国と対立する台湾の三者が政治的立場の違いなどから、基本的にばらばらに行動していたのです。

ですが、90年代の香港の中国返還と最近の中台関係の改善などを経て、どうもこの三者が次第に足並みをそろえて日本に対抗しようという雰囲気が出てきているようです。

台湾の活動家のトップと付き合いがあるのですが、中国、香港の「仲間」とは常に携帯で連絡を取り合い、出航などの計画を練り、資金の相互援助も行っている、と言っています。

今回も、昨日、台湾の活動家が尖閣諸島に接近を試みましたが、中国政府の圧力で動けない中国の活動家の「代理」として動いていた面もあるようです。

政府レベルでは、統一問題も視野に中国は明らかに台湾との共同歩調化を狙っています。台湾の馬英九政権はさすがに「中国とは無関係」と一線を画す立場を崩していませんが、活動家への締め付けが陳水扁政権時代より緩んでいるのは明らかです。

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