日本では菅新内閣がスタートしたが、米国は菅首相の党首選の勝利をライバルの小沢氏よりも歓迎しているようだ。それを物語るのは、党首選前の9月11日付のワシントンポスト紙の直截的な社説だった。そのタイトルは、「日本の選挙―『単細胞』のアメリカ人は関心を示したほうがいいだろう」(`Simple-minded` American might want to pay attention)といって、小沢氏の「米国人は単細胞」発言に引っかけた毒のあるものだった。この社説は、小沢氏が米国人を「単細胞」呼ばわりした発言に言及しながらも、彼の米国人への偏見よりも深刻なことは、普天間飛行場の移設合意を再交渉しようとしていることだと喝破している。

 おりしも尖閣諸島周辺での中国漁船と海保との衝突をめぐり、日中関係が緊張している。そもそも、東シナ海だけでなく、南シナ海での領土問題についても、「強硬姿勢」を増している中国に対しては、クリントン米国務長官だけでなく、岡田外相(当時)や東南アジア諸国が、7月のハノイでのアセアン地域フォーラムで懸念を示したばかりである。関係者の話を聞くと、このときに中国は孤立感と危機感を味わったようだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。