菅改造内閣の船出 明るい兆しと暗い影

執筆者:原英史2010年9月21日

 

副大臣・政務官も決まり、菅改造内閣が船出した。
残念ながら、1年前の鳩山内閣発足時と比べると、「新しいことが起きそう」という期待感は雲泥の差だ。
 
そんな中だが、1年前と比べ、改善したこともある。
菅総理以下閣僚と党主要メンバーで、内閣発足早々に(20日)集まり、「合宿」なる勉強会をやったそうだ。
これは、昨年の今頃もうわさがあったが、結局なされなかったもの。
大したことない話と思われるかもしれないが、政府の“経営陣”たる閣僚メンバーが、こういった形で十分な意思疎通をしておくことは大事だと思う。
 
(この辺のことは、拙著『官僚のレトリック』(新潮社、2010年5月)でも書いたのだが、鳩山内閣では、「次官会議廃止」までは良かった。だが、その先の、もっと大事なことが出来ていなかったと思う。つまり、次官らに代わって、閣僚間で十分に意思疎通・議論する、ということだ。)
 
一方、副大臣・政務官の人事は、どうか。
昨年の鳩山内閣でよかったのは、「副大臣・政務官は派閥のバランスで配置する」という自民党政権時代の悪弊を廃し、政務三役がチームとして機能できる人事を最大限実現したことだ。
今回の人事では、政府はあくまで「適材適所」と繰り返しているが、何やらかつての“派閥人事”に回帰した印象を否めない。
下手すれば、政務三役の中で、派閥間の路線対立が生じ、政策運営が混迷を深める可能性さえはらんでいるように見える。
政務三役チームとして、それぞれの省をリードしていけるのか。今後の運営を注目したい。
 

(原 英史)

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