今回の尖閣問題での菅政権の対応について、日本国内であまりにも評価が低すぎるのが気になる。もちろん、私も今回の菅政権の対応を手放しで称賛はできないが、しかしながら、初心者(いろんな意味で)の割には難しい問題を最悪の状況にせずになんとかマネージしていることは、きちんと評価しないといけないと思う。例えば国際世論を広くみても、日本の評判は大きくは傷ついていないし、むしろ、中国が失ったもののほうが多いことがわかる。このあたりの大局観は、日本のメディアだけを見ていてはだめで、米国の報道や、オバマ政権の担当者の菅政権への評価を見ていないとわからない。

 例えば、10月1日付の米国の新聞、クリスチャンサイエンスモニターの社説「Is Obama ready for a stare-down with China?」は次のようなものだ。中国が尖閣諸島の近海で日本の海上保安庁の巡視船に故意に漁船を衝突させた問題で弱い近隣国に危機をもたらしたとし、オバマ政権は中国が近隣国に軍事的に脅したりしないようにチェックするような準備が必要で、日本を応援して中国政府に明らかなシグナルを送れ、というものだった。「小さな漁船が大きな巡視船に自ら衝突するはずがない」という立場を取る中国側からすれば、かなり偏った意見として不満を持つであろう日本寄りの強い立場表明だ。

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