アフリカ連合という「不思議」

執筆者:白戸圭一2010年10月13日

 国連総会は10月12日、国連安全保障理事会の非常任理事国を改選し、アフリカからは南アフリカが選出されました。他の4カ国はインド、コロンビア、ドイツ、ポルトガル。任期は来年1月から2年。

 アフリカから選出された非常任理事国は、安保理の場で、世界の他地域の代表とは少々異なった役割を果たすことを求められます。アフリカ選出の理事国は、自国の国益の他に「アフリカ代表」としての責務を果たすよう求められる機会が多いのです。その最大の理由は、アフリカ53カ国で構成する地域機構「アフリカ連合=AU」の存在感です。

 AUという地域機構は、実に興味深い、内部で不思議な政治力学が働いている組織です。

 AUの前身は1963年発足のアフリカ統一機構(OAU)です。OAUは積年の植民地支配に苦しみ続けたアフリカ諸国が「反植民地主義」と「反アパルトヘイト=反人種差別」などを軸に結集した地域機構でしたが、独立後のアフリカ諸国の政治経済の混乱の中で主導権を発揮することができず、1980~90年代には「独裁者クラブ」と揶揄されるまでに存在意義を低下させました。

 2002年、このOAUが発展解消する形で発足したのがAUです。組織内に常設の平和安全保障委員会を設置したり、国連PKOをモデルにしたAU独自のPKOをスーダンやソマリアに派遣するなど、アフリカの平和構築と経済発展のために積極的な役割を果たそうとしている点がOAUとは違います。

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