特別会計仕分けのスタート

執筆者:原英史2010年10月24日

27日から事業仕分け第三弾(特別会計仕分け)が始まる。

特別会計は、「離れですき焼き」のたとえで有名だが、従来、いわば各省独自のお財布のような扱いで、財務省主計局の予算査定も十分及んでいない。
一般会計以上に、とんでもないムダな事業や施設がひそんでいる可能性は高いだろう。
 
だが、そうした個別のムダを取り上げ、「こんなムダがあった」と叩くだけの仕分けでは、あまり本質的改革にはならない。
これまでの事業仕分けでも指摘されてきたように、最終的に政策決定には反映されなかったり、一応廃止になっても名前を変えて別の事業として生き延びたり、イタチゴッコが続いていくことになる。
 
より本質的には、例えば、年金や雇用保険料を財源にムダな施設が次々と作られてきたのはどうしてだったのか。
空港整備特別会計で、全国各地に必要性の乏しい空港を大量に作ってしまったのは、どういう構造で、どう解決したらよいのか。
そういった構造的な問題解決につながる議論を期待したい。
 
各論で一つだけ先にコメントしておくと、今回仕分け対象に選ばれた中に「年金記録照合事業」が入っている。長妻前厚生労働大臣の肝いりプロジェクトであり、厚生労働省の「脱長妻」が取り沙汰される中だけに、一体どうなるのか注目されるところだ。
私は、「コンピュータ記録と紙台帳の突き合わせ」に膨大な時間とカネを割くのは非効率と考えており、そうした作業より、本人への確認作業を集中的に実施した方が有効と考える。
しかし、この事業を、単に「ムダ」かどうかという視点で仕分けることにも反対だ。
 
「年金記録」が大問題になって久しい。いい加減、記録問題をどう解決するのか、専門家の知恵を集めて十分議論して決定し、決定したら、大臣交代といった事情でぐらつくことなく、さっさと実行すべきだと思う。

(原 英史)

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