米英首脳との親密さを演出した李大統領 (c)EPA=時事
米英首脳との親密さを演出した李大統領 (c)EPA=時事

 韓国で開かれたアジアで初めての主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、初日の11月11日、ソウルでの夕食会で開幕した。  本来、G20首脳会議は、横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(13、14日)の後に開かれる公算が大きかった。しかしAPECに埋没するのを避けるため、韓国の李明博大統領はAPEC直前の開催にこぎつけた。世界の政治・経済における韓国の存在感を示す最高の機会。議長の李大統領の力が入ったのも当然である。  夕食会が行なわれたのは国立中央博物館で、会場は展示室の一角を衝立で区切っただけ。実質的なワーキングランチとするため、ビジネスライクな雰囲気が演出された。世界が金融危機の後遺症で苦しんでいる時、贅沢や浪費をするべきでないと、簡素で質実な会議を心がけたわけである。  メニューは各首脳が好きなものを選べるよう、肉料理、魚料理、ベジタリアンの3種類を用意した。  まず肉料理。〈盈徳のズワイガニのペースト、ライム添え、クスクスと〉〈マッシュルームのクリームスープ〉〈尚州の韓牛のフィレステーキ、江原道のキノコと野菜添え〉〈済州島のミカンのシャーベットとチョコレート、アーモンドのビスケットで〉  魚料理は、上記のメニューの主菜が〈西海のヒラメのバターソース、江原道のキノコと野菜添え〉に変わった。  ベジタリアンは〈ポテト、野菜、豆腐などのゴマソース和え〉〈野菜とライスのトマトソース、キノコとハーブ添え〉。スープとデザートは共通だ。  飲みものは、フランスのワイン醸造家と韓国のオーナーが米カリフォルニアのナパバレーで生産している赤ワイン「オンダ・ドーロ(金色の波)」。ブドウはカベルネ・ソービニョン種で、値段は中クラスだ。  首脳の多くが当日、長距離フライトで韓国入りすることを考え、量を含め負担を少なくした。「一般家庭に招かれたような庶民的メニュー」という。キャビア、フォアグラ、トリュフなど高価な食材は使われなかった。ただ産地を明記した食材は、いずれも与党ハンナラ党の地盤のものばかり。これは偶然だろうか。

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