選挙の先にあるもの

執筆者:白戸圭一2010年12月10日

 西アフリカのコートジボワールで、大統領選の決選投票を終えた候補者2人が、ともに「大統領」を名乗る異常事態が発生しています。

 日本の新聞でも既に報道されていますが、経緯をおさらいすると、大統領選は10月31日に第1回投票があり、14人が立候補しましたが、過半数を獲得した候補はいませんでした。「過半数を得票した候補がいない場合は得票数上位2人で決選投票を行う」との規定により、11月28日に決選投票が行われ、現職のバグボ大統領(65)と、北部の旧反政府勢力に支持された野党指導者のワタラ元首相(68)が決選に臨みました。

 コートジボワールでは2002年に「新勢力」と称する反政府勢力が武装蜂起し、南部の最大都市アビジャンに拠点を置く中央政府と内戦状態に突入しました(同国の首都はヤムスクロですが、小さな町であり、首都の実態がありません)。翌2003年に停戦合意がありましたが、その後も南北の分断状態が続いた経緯があります。つまり決選投票は、南の政府代表であるバグボ大統領と、北の事実上の代表であるワタラ氏の「南北決戦」の構図になったわけです。

 選管は12月2日、投票総数の約54%を得たワタラ氏が、約45%のバグボ氏を破って当選したと発表しました。しかし、バグボ氏陣営はワタラ氏陣営の「不正」を主張し、選挙結果を最終認定する憲法評議会は3日、ワタラ氏の地盤の北部で「投票行為の妨害や暴力があった」として選管発表を覆し、バグボ氏を当選者とする決定を下しました。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。