2011年度予算案が閣議決定された。歳出規模は過去最大の92.4兆円。
 政権発足当初、財政の危機的状況を強く憂い、「消費税10%」まで口にしていた菅総理。参院選マニフェストでは、「強い財政」を看板に掲げていたが、この予算案は、「強い財政」の第一歩と言えるのだろうか?
 菅総理は予算案決定後の24日夜、「財政再建という意味では、まだまだ不十分」と語ったそうだが、問題は、十分かどうか以前に、方向として財政再建に向かっているのかどうかだ。
 
 今回の予算案では、新規国債発行額44.3兆円以下という目標だけは何とか達成した。だが、穴を埋めたのは、鉄建機構の剰余金(1.2兆円)、財政投融資特別会計の積立金・剰余金(1.1兆円)などの、いわゆる埋蔵金。
 
 一方で、ムダな歳出を切り詰める努力が十分だったかどうかは、甚だ疑わしい。マニフェストでは「ムダづかいと天下りを根絶し、財政を健全化させます」という表題の下、「政治家、幹部職員などが率先し、国家公務員の総人件費を2割削減」、「天下りの温床となっている各種公法人について、廃止を含めた改革」などを約束していたが、これらは全くできていない状態(当サイトの記事エントリー参照)。
 また、「事業仕分けなどの手法を通じて、全ての特別会計を見直し」という話も、成果につながったとは言い難い(前エントリー参照)。
 そうした結果が、「過去最大の92.4兆円」だ。
 
 家計で考えれば当たり前だが、ムダづかいを改めず、支出をどんどん増やし続けながら、へそくりを吐き出して何とか帳尻をあわせるというのでは、「再建への道」ではなく、「破綻への道」だろう。
 政府の場合、いずれ増税すればよいという発想で、こうした財政運営がまかり通るのかもしれないが・・。
 

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