中国北東部・吉林省にある延辺朝鮮族自治州で、韓国と北朝鮮の工作員が暗闘を繰り広げている模様だ。同自治州は中国と北朝鮮の国境沿いにあり、北京の消息筋によれば、南北のスパイ合戦が激化し始めたのは昨年秋以降。

 同自治州の朝鮮族は北朝鮮住民とは民族、言葉が同じで、家族・親類が北朝鮮に住んでいる人も多く、かなり自由に往来しているため、これに目をつけた韓国の対北朝鮮工作機関が一部の朝鮮族に金を払い、北の情報を収集させていた。

 ところが、昨年十月ごろから、北朝鮮側が政府や軍の資料を見せるなどと言って、朝鮮族の韓国側スパイをおびき出し、捕まえるケースが続出。これらの朝鮮族の中には、拷問を受けたうえ、北朝鮮当局から国内にいる彼らの家族らを収容所送りにするなどと脅されて、逆に北のスパイとなって吉林省の自治州に戻って来る者も多いという。

 同自治州の国境地帯では、朝鮮族を巻き込んで韓国、北朝鮮側双方の工作員による血なまぐさい事件が多発しているとの情報もある。しかし、スパイ合戦が自国内で起きているにもかかわらず、中国当局は今のところ、介入する姿勢は全く見せていない。

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