相次ぐ環境規制への対応が、合従連衡を加速する――

「あの悠長な日立が動き出すとは」「業界トップが仕掛けるなら対応を考えなければ」――。九九年十一月中旬から下旬にかけて相次いで表面化した日立製作所とシャープの家電分野での提携、松下電器産業とダイキン工業のエアコン事業での包括提携は、家電業界関係者を震撼させるに十分だった。二つの提携劇のキーワードは「環境」。環境規制への対応を共通目標に急速に合従連衡が進む自動車業界同様、家電業界でも「エコの時限爆弾」が炸裂し、本格再編に突入する可能性が高まっている。

 家電業界を取り巻く環境規制とは、九九年四月施行の改正省エネ法、二〇〇一年四月施行予定の特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)、フロン使用規制の三つ。

「省エネ型エアコン、新しい冷媒開発で、業界最先端を走るために提携を決めた」。松下電器とダイキン工業の幹部はこう口をそろえる。両社はまず二〇〇〇年内に省エネエアコンや新冷媒開発などを目的とした研究開発専門の共同出資会社を設立。さらに家庭用エアコンは松下に、業務用エアコンはダイキンに生産を集約し、相互供給を始める。日立とシャープも白物家電の相互OEM(相手先ブランド販売)を皮切りに、省エネ家電の共同開発を視野に入れている模様だ。松下は家庭用エアコンで、ダイキンは業務用エアコンでそれぞれ国内最大手。それぞれの分野のトップメーカーどうしでさえ、提携で勝ち残りを模索するところに環境規制の影響の大きさがうかがえよう。

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