ミレニアムに待ち受ける「市場の審判」

執筆者:小暮史章2000年1月号

勝ち残れる者、淘汰される者。世界の市場で二極化が進む。インターネット・バブルに崩壊の危険が高まる一方で、IT革命に乗り遅れた企業には、厳しい裁きが待つ時代。景気回復期待が高まる日本の二〇〇〇年を読む鍵は――。 新しいミレニアム(千年紀)の始まりだからなのだろうか。正月のメディアには、人類や文明といった巨視的な言葉が並ぶ。日本経済の先行きにも明るい兆しを見出そうとする雰囲気が漂ってくる。だが、情報通信(IT)革命の福音を奏でるだけでは、千年の愉悦に浸ることはできない。勝ち残れる者と淘汰される者を峻別する最後の審判が、二〇〇〇年の日本には待ち受けている。「来(九九)年度にかけて本格的なリストラが実施されると、日本経済は非常に厳しい縮小均衡の局面を迎えることになり、場合によっては、来年度の名目GDP(国内総生産)は前年度比マイナス五%程度まで落ち込むのではないかとの予想を、(一人の政策委員は)付け加えた――」 これは九九年二月十七日に、回収・差し替えで大騒ぎになった日銀金融政策決定会合の議事要旨(九八年十二月十五日会合分)からの抜粋である。中原伸之氏とおぼしき政策委員のいうマイナス成長見通しは、世の雰囲気にぴったりだった。ある週刊誌は「新聞が全く報じない」「警告スクープ」として鬼の首でもとったかのように報じた。

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