北朝鮮の金正日労働党総書記が九九年夏、幹部を集め、外国の援助、投資を獲得するために主要国との国交正常化に着手するよう密命を下したとの情報がワシントンで流れている。事実ならば、最近の積極外交はこの密命の影響と説明できる。 北朝鮮は十二月、イタリアと国交を樹立。二月一日からフランス代表団が国交交渉のため訪朝したほか、二月末にはオーストラリア代表団も訪朝する。フィリピン外務省も年内に北朝鮮と国交を樹立すると発表。四月頃には日朝国交正常化交渉の本交渉も再開されるほか、北朝鮮高官の訪米招請も受諾した。さらに北朝鮮は、ドイツや英国とも北京などを舞台に水面下で国交樹立交渉を行なっているといわれる。一連の交渉は、韓国が反対を唱えなくなったため実現したとみられる。 日朝交渉再開の契機となったのは、九九年八月の北朝鮮の政府声明だった。九月には、白南淳外相の国連総会出席発表、西欧主要国との外相会談提案といった動きがあり、夏に重要決定があったとの見方と符合する。その際、金総書記は弾道ミサイル、テポドンの発射は当面避けるとの決定を通達した可能性も十分に考えられる。

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