中国では、一月に「ピースおおさか(大阪国際平和センター)」で開催された「南京大虐殺」を否定する集会が大きな波紋を呼び起こしている。中国外務省が駐北京日本大使を呼び厳重に抗議したり、人民日報が特集サイトを開設するなど、日本側とは大きな認識のズレを見せている。

 中国側は、集会が大阪府と大阪市が折半出資した施設で開催された点を重視、この集会が日本政府の意向をも反映していると受け止めているようだ。事態がやや複雑なのは、集会開催には対中強硬路線を唱える西村真悟・前防衛政務次官の影が垣間見えること。西村議員本人は表に出ていないが、後援会幹部が活発に活動したとの情報もある。もう一つ中国側が神経をとがらせているのが台湾問題で、特に、十月に長野県で開催予定の「アジア・オープン・フォーラム」に、五月に総統の座を退く台湾の李登輝氏が「私人の資格」で招かれている点だ。

 九八年に来日した江沢民主席は滞日中に一貫して歴史問題に言及、日本国民の反発を買ったが、中国の内部では「江はやはり正しかった。日本は歴史はおろか祖国統一の悲願に関しても反中国潮流を強めている」との見方が勢いを増しているという。

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