イスラエルとレバノンのイスラム教原理主義民兵組織ヒズボラとの戦闘が激化し、レバノンを実質的に支配する形になっているシリアとイスラエルとの和平交渉の行方にも影響を与えている。中東外交筋によれば、ヒズボラの背後には和平交渉の進展を望まないイランの存在が大きいという。同筋によると、昨年十二月初め、イランの最高指導者であるハメネイ師の代理であるハッサン・マハダビ氏やベイルート駐在のイラン大使であるアリ・アレフ氏らが、ヒズボラのリーダーと会談したが、その際にイランからの軍事援助の強化を確認したとみられ、十二月中旬にはイランから軍事顧問団が到着した。

 イランは中東和平の進展によって、レバノンへの影響力が落ち、イスラム革命の普及という大義を達成できないことを懸念し、ヒズボラに対して、ここ一年半の間に長距離砲を含む武器の輸出を行なうとともに、共同軍事訓練を拡大してきた。また、イランはレバノンのシーア派教徒に対する資金援助も決定している。これらの中には、インフラの整備や医療支援、教育、宗教活動なども含まれており、軍民両面からのアプローチにより影響力の確保を狙っているようだ。

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