「モバイル・ネット時代」の覇者は誰か

執筆者:小西太2000年2月号

NTTドコモは、次世代携帯の世界市場で戦う準備ができていない

[ロンドン発]世界の通信市場の地殻変動は、激化して行く一方だ。主戦場は固定電話から携帯電話に移り、インターネットと結びつくことで国境や業種の壁を超えた再編が始まった。欧米の有力企業がすさまじい規模とスピードでM&A(合併・買収)や提携を繰り広げる中、再編の波は日本市場にも及ぼうとしている。日本の携帯電話市場に君臨するNTTドコモも、このまま立ち止まっていればその地位を失いかねない。

「ノー・ボーダー(無国境)」――。欧州産業界でいま、こんな言葉がささやかれている。九〇年代に世界のパソコン市場を支配した「ウィンテル(ウィンドウズ=マイクロソフトとインテルの連合)」のように、フィンランドの携帯電話メーカー、ノキア(ノー)と、英携帯電話大手ボーダフォン(ボーダー)の連合である「ノー・ボーダー」が、国境を超えて今後の世界の通信市場を席巻するという予測だ。

 ノキアは九九年末、企業の価値を表す株式時価総額で英蘭メジャー(国際石油資本)のBPアモコを抜いて欧州首位に躍り出た。さらに二〇〇〇年二月三日、今度はボーダフォンがドイツの通信・機械大手マンネスマンの買収を決め、ノキアを抜いて首位に立つことが確定した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。